第1章では5w1hを考える順番について説明しましたが、この第2章では5w1hを意識した文章の書き方を紹介していきます。 例文を交えて紹介していきますので「できるだけわかりやすく伝える文章の書き方」をビジネスシーンに取り入れてみてください。 「あとはみなさんにお任せします」。そう言ってミーティングを終え、目標なきプロジェクトが始まった。後日、各チームから出されてきたスケジュールや作業計画を見ると、とても目的に到達できるものではなかった。また、作業分担にも抜けや漏れが発生していた。あわてた筆者はメンバーを再び集め、キックオフ・ミーティングをやり直した。彼らの顔を見ると「なんだ、また集めるのか。振り回すのもいい加減にしてくれ」という表情。プロジェクトの開始はどんどん遅れ、メンバーの士気も下げてしまった。 経営・ビジネスハック 仕事をしていると、アイデアが出てこなかったり戦略がまとまらなかったり、頭を抱えてしまうことはありませんか?ビジネスを円滑に進めるために、できる人が使用しているのが「フレームワーク」です。今回は活用場面が多い5W1Hを中心に、ビジネスに役立つフレームワークを紹介します。英語を学ぶ際に誰しもが習うのが「5W1H」。who(誰が)、where(どこで)、what(何を)、when(いつ)、why(何故)、how(どのように)の頭文字を取ったものですが、ビジネスでも大活躍することをご存知でしょうか。ものごとをわかりやすく伝えるためには、「いつ→どこで→誰が→何を→なぜ→どのように」の順番が基本です。まずは「いつ・どこで」で情報を整理し、次に「誰が・何を」で結論を明確に、そして最後に「なぜ・どのように」で補足をします。必要最低限の情報を正しい順番で伝えることで、要件がスッキリまとまり、相手が理解しやすくなるのです。また、ビジネスにはコストがつきものなので、How much・How many(いくら・いくつ)を加えた「5W2H」も重要とされています。「5W2H」を使うと話に具体性が出るので、プレゼンや企画書などに最適です。ビジネスシーンに有効なフレームワークは、ほかにもたくさんあります。ここからは、よく使われているフレームワークの中から、文章作成、アイデア出し、マーケティングに活用できるものを紹介していきます。ビジネスマンは、メール・企画書など、文章作成能力が必須ですよね。わかりやすい文章であれば相手に意図や状況が伝わりやすいので、伝達がスムーズになります。文章の構成法のひとつで、Point(結論)、Reason(理由)、Example(事例、具体例)、Point(結論を繰り返す)の頭文字を取ってPREP法と呼びます。このフレームワークの特徴は、文章の冒頭に結論を持ってくる構成だということ。結論が初めにあることで、簡潔かつ説得力のある文章になります。また、読み手も最初の一文で最も重要な要件・主張を把握することができるため、文章を理解しやすくなることもメリットです。①Point(結論)私は○○だと思います。②Reason(理由)なぜなら、●●だからです。③Example(事例、具体例)例えば、◎◎があります。④Point(結論を繰り返す)よって、○○だと思います。 元々はプレゼンテーションのコツなのですが、文章を書く時にも有効です。印象に残るメッセージの特徴は、Simple(単純明快)、Unexpected(意外性)、Concrete(具体的)、Credible(信頼性)、Emotional(感情)、Story(物語性)が盛り込まれているという法則です。Simple(単純明快)わかりやすく書く理解しやすい、サクサクと読めるUnexpected(意外性)予想を裏切る内容を入れる飽きない、引き込まれるConcrete(具体的)数字、具体例、事例をあげるイメージがしやすい、納得するCredible(信頼性)根拠やデータ、専門家の言葉を載せる信頼度が増すEmotional(感情)感情に訴える行動につながるStory(物語性)ストーリー化する長く記憶に残る頻繁に企画やアイデアを求められ、「もう思いつかない…」と悩むことはありませんか?フレームワークを使えば、「使える」アイデアを「効率的に」生み出すことができるようになります。自分ひとりだけでできるアイデア発想法で、短時間で3つ以上はアイデア出しができるとされています。Substitute(入れ替える)、Combine(組み合わせる)、Adapt(当てはめる)、Modify(修正する)、Put to other Uses(他の使い道を考える)、Eliminate or Minify(削減する)、Rearrange or Reverse(並び替える・逆転する)の頭文字を取りSCAMPER法と呼びます。Substitute(置き替える)他のものに置き換えることはできるか?Combine(組み合わせる)他の何かと組み合わせることはできるか?Adapt(当てはめる)他に似ているものはないか?Modify(修正する)大きさ、形、色などを変更できるか?Put to other Uses(他の使い道を考える)他にどのような使い方があるか?Eliminate or Minify(削減する)取り除けるものはないか?Rearrange or Reverse(並び替える・逆転する)入れ替えたり、逆にしたりすることはできるか?3×3の9マスの枠で成り立つフレームワーク。9つのマスの真ん中にメインテーマを入れ、周辺のマスに関連項目を入れていくという、とてもシンプルな方法です。位置関係や内容は自由で、紙でもスマホアプリでもExcelでも、記入できるものがあればどこでもできます。マーケティングには、自社や顧客、環境といった様々なファクターを分析した上で、最適な戦略を打ち出すことが重要です。分析から実行までのプロセスを、フレームワークで抜け漏れなく、効率化してみませんか?マクロ環境分析のためのフレームワーク。事業を成功させるためには、トレンドをつかむことも重要です。景気や人口動態などのマクロ環境が、事業にどう影響を与えるのかを把握・予測します。この分析を行うことで、どこにどう参入していくか、今後起こり得る事態にどう対処するか、戦略を練ることができます。海外進出の際の、国のポテンシャルやカントリーリスクを分析する際にも有効です。Politics(政治要因)法律や税制の改正など、市場のルール自体を変えるものEconomy(経済要因)景気や経済成長など、価値連鎖に影響を与えるものSociety(社会要因)人口動態や流行の変化など、需要構造に影響を与えるものTechnology(技術要因)ITやインフラなど、市場競争の成功要因を変えるもの3Cとは、Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)を指しています。外的環境分析を行う点ではPEST分析と同じですが、3C分析はミクロ環境、つまり業界の環境分析である点が異なります。3C分析は、まずは市場・顧客を分析し動向を把握することからはじめます。次に、競合が市場・顧客の変化に対してどのような対応をし、どのような結果を出しているかを分析します。自社を取り巻く業界環境を把握することができたら、これらの分析をもとに自社の強み・弱みを明確にし、自社の成功要因((KSF)を導き出します。ビジネスモデルの全体の把握に役立つフレームワークです。ビジネスモデルを、Key Partners(キーパートナー)、Key Activities(キーアクティビティ)、Key Resources(キーリソース)、Value Propositions(提供価値)、Customer Relationships(顧客との関係)、Channels(チャネル)、Customer Segments(顧客セグメント)、Cost Structure(コスト構造)、Revenue Streams(収入の流れ)9つの要素に分類し、それぞれがどのように関連し合っているのかを図式化したものです。左側が自社に関連する要素、右側が市場・顧客に関連する要素となっています。KP提携先のこと。小売店、製造業者など、ビジネスの一部を委託した外部パートナー。KAビジネスモデルを実現するためのメインの事業活動。KR経営の資源。ヒト、モノ、カネ、情報のこと。VP顧客に与える価値。顧客の問題解決をしたり、ニーズを満たしたりするもの。CR顧客との関係性を構築する仕組み。対面のサービスか、セルフサービスかなど。CH顧客に価値を届けるためのルート。実店舗、ネットショップなど。CS年齢、性別、地域など、顧客の属性。誰に売るかを明確にする要素。CS費用がかかる仕組み。人件費、開発費など、ビジネスにかかる費用すべて。RS収入を得る仕組み。販売収入だけでなく、手数料や広告収入など、サブ的な収入も含む。インターネット普及後の購買行動プロセスの説明モデル。顧客の購買行動は、Attention(注意)→Interest(関心)→Search(検索)→Comparison(比較)→Examination(検討)→Action(購買)→Share(共有)と進んでいきます。AIDMAやAISASなどいくつかある購買プロセスの中でもっとも細分化されており、「比較」「検討」のプロセスがあることが特徴です。Attention(注意)認知段階テレビ・マス広告、ネット広告、メディアサイト、自社サイト、メルマガ配信Interest(関心)Search(検索)感情段階カタログ、DM、SEO対策、リスティング広告、リターゲティング広告、ブログComparison(比較)Examination(検討)Action(購買)行動段階サイトの導線改善、CGM(消費者生成メディア)の整備Share(共有)仕事の進め方の基本で、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)を繰り返すことで、業務を改善していく手法です。聞くだけなら簡単そうに思えるかもしれませんが、「PDCAが回らない!」という人も少なくないのが現状です。その原因として、計画倒れになっていることや、評価(C)と改善(A)のプロセスが抜けていることなどがあげられます。評価ができなければ課題が把握できないため、改善策を考えることができません。そして、改善策がなければ次の計画を立てることができず、目標がないまま実行を重ねることになり、PDCAが成り立たなくなってしまうのです。PDCAサイクルを回すために大切なのは、目的と目標を明確にすること。目的と目標がしっかりあれば、目標達成へ近づきやすく、素早い軌道修正も可能です。また、振り返りや分析のために、PDCAの1サイクルごとに実行した改善策とその結果をまとめておくようにしましょう。いかがでしたでしょうか。すぐに使用できそうな、基本的なフレームワークを中心に目的別に紹介してみました。このほかにも、まだまだたくさんのフレームワークが存在し、より深く考察できるものもあります。異なったフレームワークを同時に使用することで相乗効果も期待できるので、ぜひ自分なりの使い方に落とし込んでみてくださいね。メルマガに今すぐ登録!マーケティング&セールスのお役立ち情報を随時配信中