◇◆◇ プレゼントマイクを生贄に捧げた累は校長室まで来ていた。身嗜みを整え、ノックをして入室許可を得た後扉を開ける。 「私が来た!」 「私は元から居た!」 NO.1ヒーローのセリフをパクったが目の前にご本人が居た。累もこれには驚い─ 「オールマイトじゃん久しぶり!」 ──たりは勿論しなかった。 「HAHAHA! 相変わらず朝から元気だねタフクイーン」 「それだけが取り柄だかんね!」 二人して大笑い。そこに部屋の主の咳払いが入ると校長へと顔を向けた。紛うことなきネズミだ。異形系だと勘違いしてしまうが紛うことなきネズミである。ただちょっと大きくて目に縦一文字の傷が有るだけで紛うことなきネズミなのである。 「どうも根津校長。タフクイーンここに罷り越してございます」 「相変わらず君の思考回路は僕の頭を持ってしても理解出来そうにないよ。まぁ良く来てくれたねタフクイーン」 急に跪く累に目を回しそうになる根津校長。オールマイトも額に手を当ててオーバーなリアクションをとっている。小声で「これでスイッチ入ったらアレだもんなぁ」とごちている。 「それで根津校長、あの書類の件ですよね?」 「そうだね。目は通してくれたかな?」 雄英からの書状には雄英高校の職員になって欲しいとざっくり言えばそう書かれていたことを累は覚えている。 しかし累にとっては何故、今こんな物が届いたのかが何より疑問だった。恐らく自分を雇う目的は生徒への戦闘指南や警備の強化の為だろうと累は認識している。 だがそんな事は根津校長の隣の人物が全て解決する。 NO.1ヒーローであるオールマイトとは存在自体がヴィランに対する抑止力となる。平和の象徴であり、それに見合う程のカリスマ性と他を圧倒するパワーがある。そんな存在が今では此処雄英高校の教師となった。つまりヴィランは下手に手が出せない。累のオールマイトへの評価はそれ程高いし事実そうである。例え彼が衰えていたとしても。 「君を呼んだのは寧ろオールマイトが此処に来たからさ」 「オールマイトが?」 ますます分からないと思わず首を傾げる累。 「彼は教師としての才能が皆無だったんだ」 「そんなストレートに言わなくても…」 根津校長は紅茶片手にそう言ってのけた。オールマイトの様子から見ても事実のようだ。累は意外だとオールマイトを見て思った。 「八木先輩にも苦手な物があったなんて、なんかショックです。先輩は大抵ソツなくこなす方だとばかり…」 「私はその言葉を聞いてよりshock!」 何を隠そう累は若干二十歳そこそこの見た目でオールマイトが雄英在学中に雄英高校に通っていた。つまり雄英OGでありオールマイトの後輩にあたる。年齢については言及してはいけない。相澤との年齢差も聞いてはいけない。聞いたらその日が最期、いいね? 「事情は分かりました。ですが、何も私でなくとも補えるのでは? 雄英の教職員は皆プロですし、そもそもオールマイトは今年から教師になったはず、であれば今まで通りのカリキュラムにオールマイト+その他の教師といった対処が出来ないとは言いませんよね?」 「別に深く捉えなくてもいいんだ。単純に君を此処雄英の教師として欲しいとそう言っているだけだからね。オールマイトの補佐役にって言うのは本音でもあり建前でもあるのさ」 根津校長はさり気無く紅茶を累の前に置いた後、紙の束をデスクから取り出し差し出して来た。おずおずと言った様子で受け取るとどうやら報告書の様だった。太文字ゴシックで『マスコミ騒動の対処法と結果』と書いてある。 「これは?」 「オールマイトが来てからマスコミが挙って押しかけてきてね。登校する生徒達を待ち構えては質問の嵐を浴びせ掛かる。まぁここまでなら想定内だったんだけれど、問題はその後のランチ時──」 ──門が破壊されたんだ。 そう言った根津校長の表情は強ばっていた。それはオールマイトも同様で彫りの深い顔立ちにシワができている。 いくらマスコミがオールマイトに取材したくとも果たして門を破壊してまで入ってくるだろうか? ◇◆◇ プレゼントマイクを生贄に捧げた累は校長室まで来ていた。身嗜みを整え、ノックをして入室許可を得た後扉を開ける。 「私が来た!」 「私は元から居た!」 NO.1ヒーローのセリフをパクったが目の前にご本人が居た。累もこれには驚い─ 「オールマイトじゃん久しぶり!」 ──たりは勿論しなかった。 「HAHAHA! 相変わらず朝から元気だねタフクイーン」 「それだけが取り柄だかんね!」 二人して大笑い。そこに部屋の主の咳払いが入ると校長へと顔を向けた。紛うことなきネズミだ。異形系だと勘違いしてしまうが紛うことなきネズミである。ただちょっと大きくて目に縦一文字の傷が有るだけで紛うことなきネズミなのである。 「どうも根津校長。タフクイーンここに罷り越してございます」 「相変わらず君の思考回路は僕の頭を持ってしても理解出来そうにないよ。まぁ良く来てくれたねタフクイーン」 急に跪く累に目を回しそうになる根津校長。オールマイトも額に手を当ててオーバーなリアクションをとっている。小声で「これでスイッチ入ったらアレだもんなぁ」とごちている。 「それで根津校長、あの書類の件ですよね?」 「そうだね。目は通してくれたかな?」 雄英からの書状には雄英高校の職員になって欲しいとざっくり言えばそう書かれていたことを累は覚えている。 しかし累にとっては何故、今こんな物が届いたのかが何より疑問だった。恐らく自分を雇う目的は生徒への戦闘指南や警備の強化の為だろうと累は認識している。 だがそんな事は根津校長の隣の人物が全て解決する。 NO.1ヒーローであるオールマイトとは存在自体がヴィランに対する抑止力となる。平和の象徴であり、それに見合う程のカリスマ性と他を圧倒するパワーがある。そんな存在が今では此処雄英高校の教師となった。つまりヴィランは下手に手が出せない。累のオールマイトへの評価はそれ程高いし事実そうである。例え彼が衰えていたとしても。 「君を呼んだのは寧ろオールマイトが此処に来たからさ」 「オールマイトが?」 ますます分からないと思わず首を傾げる累。 「彼は教師としての才能が皆無だったんだ」 「そんなストレートに言わなくても…」 根津校長は紅茶片手にそう言ってのけた。オールマイトの様子から見ても事実のようだ。累は意外だとオールマイトを見て思った。 「八木先輩にも苦手な物があったなんて、なんかショックです。先輩は大抵ソツなくこなす方だとばかり…」 「私はその言葉を聞いてよりshock!」 何を隠そう累は若干二十歳そこそこの見た目でオールマイトが雄英在学中に雄英高校に通っていた。つまり雄英OGでありオールマイトの後輩にあたる。年齢については言及してはいけない。相澤との年齢差も聞いてはいけない。聞いたらその日が最期、いいね? 「事情は分かりました。ですが、何も私でなくとも補えるのでは? 雄英の教職員は皆プロですし、そもそもオールマイトは今年から教師になったはず、であれば今まで通りのカリキュラムにオールマイト+その他の教師といった対処が出来ないとは言いませんよね?」 「別に深く捉えなくてもいいんだ。単純に君を此処雄英の教師として欲しいとそう言っているだけだからね。オールマイトの補佐役にって言うのは本音でもあり建前でもあるのさ」 根津校長はさり気無く紅茶を累の前に置いた後、紙の束をデスクから取り出し差し出して来た。おずおずと言った様子で受け取るとどうやら報告書の様だった。太文字ゴシックで『マスコミ騒動の対処法と結果』と書いてある。 「これは?」 「オールマイトが来てからマスコミが挙って押しかけてきてね。登校する生徒達を待ち構えては質問の嵐を浴びせ掛かる。まぁここまでなら想定内だったんだけれど、問題はその後のランチ時──」 ──門が破壊されたんだ。 そう言った根津校長の表情は強ばっていた。それはオールマイトも同様で彫りの深い顔立ちにシワができている。 いくらマスコミがオールマイトに取材したくとも果たして門を破壊してまで入ってくるだろうか? 相澤消太 (あいざわ ... 相澤が言うには雄英の入学試験は必ずしもふさわしい者が合格するわけではない非合理なテストであり、だから試験後に二重に検査し選別するらしい。 厳しい措置だが、これも見込みのない人間を取り返しがつかなくなる前に諦めさせるという彼なりの優しさから来る� そして相澤消太は思い至った。 (こいつ雄英まで来る気だ) どちらにしても雄英のセキュリティで弾かれる筈なのだから中までは来ないと高を括った相澤は黙って職場へと向かった。 だがしかし事実は小説よ … ダブルスを師として仰いでいた相澤消太にとって看過できない状況だ。故に、どんな手を使ってでもオールフォーワンを打ち滅ぼさなければならない。だが、その為の力であるワンフォーオールはただの子ども、緑谷出久に託されていた。彼からすれば非合理を通り過ぎて最早理解不能な状況だ プロヒーロー・イレイザーヘッド、本名は 相澤消太(あいざわしょうた) 。 年齢は30歳で雄英高校出身、プレゼントマイクと同期でミッドナイトは先輩にあたります。 個性は「抹消」 。見た相手の個性を消すことのできる強い個性です! タイプ絞込:すべて | 小説 | 検定 | 日替り | 心理テス | フロチャ | プレリス | アンケ | ホムペ | イベント | 名前占 | キャラ占 | フレーズ占 | 組合せ占 | カード | 脳内 | 成分. 事実侵入こそして来たマスコミだが、それは門が開放されたからであって、門を破壊して入ったとはならない。何故なら─ 「マスコミの中に門を破壊出来る個性の持ち主は居なかった。つまりこの騒動には…」 「ヴィランが関わっている可能性が高い」 音も無く静かな時間が校長室を包んだ。その部屋にいる誰もが険しい面持ちを維持しており、口を固く閉じている。 このまま誰も喋らないと思わせるほどその場は静かだった。累のスイッチが切れるまでは。 「おっしゃ、取り敢えずぶん殴れば解決出来るわ!」 「何でこうも真面目モードが続かないんだキミって奴は…」 後輩のある種悪癖と言える性質に天を仰ぐ。オールマイトは痩せぎすの骸骨男性に姿を変えツッコミを入れた。血を吐きながらしているそれは補正が入らないと死ぬだろう。ギャグ補正はどんな事をしてもダメージ0で通るから素晴らしい。 「まぁ早い話ヴィランの活動が活発化している節があるから保険に私を起用しようとそういう事でしょう? 最初からそう言いましょうよ、勘繰っちゃったじゃないですかぁ」 こうして雄英高校の教師としてタフクイーンこと相澤累はフリーダムティーチャーとなったのである。 ◇◆◇ 「と言うわけで本日付でここに着任した相澤累先生だよ」 「何故だ!?」 「字面そのままの意味合いだよ相澤消太先生」 「そういう事じゃねぇよ……」 第47回相澤夫妻小競り合い大戦が何を思ったか雄英高校職員室にて勃発した。小競り合いなのに大戦なのかとかそもそも一対一で大戦とはこれ如何にとかは特に気にしてはいけない。 「まずそんな話は聞いてないぞ?」 「知りませーん。と言うかもう決まっちゃったので今更遅いのだよダーリン!」 「学校でダーリンは止めろっ!」 他の職員が暖かい視線を送ってくる現実に目を背けたくなる相澤は取り敢えず目の前の女を黙らせなければと思った。だが結果的に根津校長の発言で自分が黙ることになった。 「ぁ、彼女の面倒を見てあげてね相澤くん」 「は?」 「彼女は1-Aの副担任という事にしてあるから」 その言葉を聞いた相澤はその場で膝を着いた。根津校長は言葉裏でこう言っているのだ『お前の嫁だろどうにかしろよ』と。最早それは相澤にとって死刑宣告であった。 (押し付けられたァ──!!?) その場には膝を着いて落ち込む男と飛び上がりながら喜ぶ女と言うか対象的な夫婦の姿があった。そして外野は尽くニヤニヤとして居たそうな。